レールは語る~古レールを訪ねて~
- 2023.04.07
- 伊予鉄の歴史
いよ子です。
鉄道と言えば、車両に注目されがちですが、
今日はその重い車両を毎日支えているレールについてのお話しです。
実は、代替などで不要になったレールは、廃棄されず柱や杭などに再利用されていることがあります。
そこで、伊予鉄に今もなお残っている古いレールを訪ねてみました。
古町駅市内電車ホーム①
向かったのは古町駅の市内電車ホーム。
横にして少しわかりやすくしたのがこちら↓
S 60 A 1927 IIIIIIII と読めます(多分)。
これは軌道線のホームに残っている日本製のレール。官営八幡製鉄所製です。
刻印を解読してみましょう。
官営八幡製鉄所製である丸Sマークがあります。中心の「S」とあるのは製鉄所を表しているのだとか。その横の「60」は60ポンド(約27㎏)を意味します。
「A」とあるのはアメリカ土木学会(American Society of Civil Engineers)規格であることを示しています。
数字は製作された年のことで、1927年(昭和2年)製であることがわかります。その横の棒線は何月製造かを表したもので、8本あるということは8月に製造されたもの、ということになります。
官営八幡製鉄所 1901年(明治34年)、国内で2番目に創業した福岡県北九州市の製鉄所。日本経済の礎を築いた。現在は日本製鉄の製鉄所の一部となっている。
市内電車ホーム②
屋根の柱にそれはあります。
読み解くと↓
CARNEGIE 1912 ET と読めますね(確信)。2本合わせ技です。
このレールは、アメリカのカーネギー鉄鋼会社製で、1912年(大正元年)製造であることがわかります。作ったのはあの鉄鋼王と言われたアンドリュー・カーネギーの会社ですね。「ET」とあるのは「エドガー・トムソン工場」の略号。ちなみに、エドガー・トムソンは当時のペンシルバニア鉄道の社長の名前です。
古町駅の通用口付近
乗務員さんの出入り口付近の柱です。
※関係者以外立ち入り禁止の場所なので、特別な許可を得て撮影しています。
これは難易度高いですが↓
B.S.CO MARY LAND OH IIIIIIIII 1923 60LBS ASCE
これもアメリカの会社による製造です。
B.S.COとは、ベスヘレム製鉄会社であることを示し、MARY LANDとあるのは1916年に合併したメリーランド製鋼社の工場で製造されたということです。
OH(Open Hearthの略)というのはどのような炉(熱設備)を使ったかを表していて、古いレールでは最も一般的な炉なのだそうです。
棒線が9本?なのでおそらく9月、製造年は1923年(大正12年)ですね。
LBSは重量を表しているので、60LBS(ポンド)、1ヤード(91.44㎝)あたり約27㎏のレールということです。
最後に、先ほど出てきたアメリカ土木学会(American Society of Civil Engineers)の略、ASCEが刻印されています。
まとめると、このレールは、
ベツレヘム製鋼会社メリーランド製 OH(平炉)1923年9月製造 60ポンドレール アメリカ土木学会規格
という情報が刻印されているということになりますね。
坊っちゃん列車ミュージアムにも展示
松山市駅、伊予鉄本社1階にある「坊っちゃん列車ミュージアム」には、古くからのレールが展示されています。
60 A.S B.S.CO STEELTON |||||||||| 1923 O.H I.G.R
60ポンドレール アメリカ土木学会規格 ベスヘルム製鋼スチールトン 1923年10月製 OH(平炉)発注:帝国官設鉄道(Imperial Government Railway)という情報が刻印されています。
また、伊予鉄の創業から1890年代にかけて使用されていた9kgレールも展示されています。
この小さなレールで重さ約6.8tある坊っちゃん列車を支えていたのですね。
ぜひ、坊っちゃん列車ミュージアムに古レールを見に来てください♪
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今回は、今も残っている歴史を感じる古レールについて紹介しました。
まさに「レールは語る」です。
古町駅以外にもまだ残っているそうなので、また古レールを訪ねてみたいと思います。
なお、今回の記事は資料として「古レールのページ」を参考とさせていただきました。詳細な資料が記されていて大変参考になりました。感謝いたします。
それではまた!
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他に富士製鉄(日本)、バーロウ(英国)、プロビデンス(ベルギー)があります。同じ八幡製でも、官営時代、(旧)日本製鐵時代、新日本製鐵時代と色々。ご紹介をお待ちしております。
コメントありがとうございます♪
お詳しいですね!また勉強して、ご紹介できればと思います!