レールは語る~古レールを訪ねて~

いよ子です。

鉄道と言えば、車両に注目されがちですが、

今日はその重い車両を毎日支えているレールについてのお話しです。

実は、代替などで不要になったレールは、廃棄されず柱や杭などに再利用されていることがあります。

そこで、伊予鉄に今もなお残っている古いレールを訪ねてみました。

古町駅市内電車ホーム①

向かったのは古町駅の市内電車ホーム。

横にして少しわかりやすくしたのがこちら↓

S 60 A 1927 IIIIIIII と読めます(多分)。

これは軌道線のホームに残っている日本製のレール。官営八幡製鉄所製です。

刻印を解読してみましょう。

官営八幡製鉄所製である丸Sマークがあります。中心の「S」とあるのは製鉄所を表しているのだとか。その横の「60」は60ポンド(約27㎏)を意味します。

「A」とあるのはアメリカ土木学会(American Society of Civil Engineers)規格であることを示しています。

数字は製作された年のことで、1927年(昭和2年)製であることがわかります。その横の棒線は何月製造かを表したもので、8本あるということは8月に製造されたもの、ということになります。

官営八幡製鉄所                                                                                                                                                                                       1901年(明治34年)、国内で2番目に創業した福岡県北九州市の製鉄所。日本経済の礎を築いた。現在は日本製鉄の製鉄所の一部となっている。

市内電車ホーム②

屋根の柱にそれはあります。

読み解くと↓

CARNEGIE 1912 ET と読めますね(確信)。2本合わせ技です。

このレールは、アメリカのカーネギー鉄鋼会社製で、1912年(大正元年)製造であることがわかります。作ったのはあの鉄鋼王と言われたアンドリュー・カーネギーの会社ですね。「ET」とあるのは「エドガー・トムソン工場」の略号。ちなみに、エドガー・トムソンは当時のペンシルバニア鉄道の社長の名前です。

古町駅の通用口付近

乗務員さんの出入り口付近の柱です。

※関係者以外立ち入り禁止の場所なので、特別な許可を得て撮影しています。

これは難易度高いですが↓

B.S.CO MARY LAND OH IIIIIIIII 1923 60LBS ASCE

これもアメリカの会社による製造です。

B.S.COとは、ベスヘレム製鉄会社であることを示し、MARY LANDとあるのは1916年に合併したメリーランド製鋼社の工場で製造されたということです。

OH(Open Hearthの略)というのはどのような炉(熱設備)を使ったかを表していて、古いレールでは最も一般的な炉なのだそうです。

棒線が9本?なのでおそらく9月、製造年は1923年(大正12年)ですね。

LBSは重量を表しているので、60LBS(ポンド)、1ヤード(91.44㎝)あたり約27㎏のレールということです。

最後に、先ほど出てきたアメリカ土木学会(American Society of Civil Engineers)の略、ASCEが刻印されています。

まとめると、このレールは、

ベツレヘム製鋼会社メリーランド製 OH(平炉)1923年9月製造 60ポンドレール アメリカ土木学会規格

という情報が刻印されているということになりますね。

坊っちゃん列車ミュージアムにも展示

松山市駅、伊予鉄本社1階にある「坊っちゃん列車ミュージアム」には、古くからのレールが展示されています。

60 A.S B.S.CO STEELTON |||||||||| 1923 O.H I.G.R

60ポンドレール アメリカ土木学会規格 ベスヘルム製鋼スチールトン 1923年10月製 OH(平炉)発注:帝国官設鉄道(Imperial Government Railway)という情報が刻印されています。

また、伊予鉄の創業から1890年代にかけて使用されていた9kgレールも展示されています。

この小さなレールで重さ約6.8tある坊っちゃん列車を支えていたのですね。

ぜひ、坊っちゃん列車ミュージアムに古レールを見に来てください♪

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今回は、今も残っている歴史を感じる古レールについて紹介しました。

まさに「レールは語る」です。

古町駅以外にもまだ残っているそうなので、また古レールを訪ねてみたいと思います。

なお、今回の記事は資料として「古レールのページ」を参考とさせていただきました。詳細な資料が記されていて大変参考になりました。感謝いたします。

それではまた!


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